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診療内容

うっ滞性皮膚炎・静脈性足潰瘍

 うっ滞性皮膚炎は、慢性静脈不全によって皮膚血管内のうっ血が生じることにより、皮膚は黒褐色となり、さらに血液還流不全により角化細胞が障害され、表皮の萎縮や落屑、潰瘍など生じやすくなる。また、皮膚バリア機構が崩壊し、湿疹病変を形成しやすくなる状態である。 静脈性足潰瘍は、下肢の静脈還流障害により生じる潰瘍で、静脈高血圧状態によりうっ滞性皮膚炎を生じ、これに小外傷が加わり潰瘍を生じることが多い。これを静脈性潰瘍という。発症のステップとしては、まず下肢静脈瘤などから症状が悪化していき、皮膚の色が変わる静脈うっ滞性皮膚炎になる。さらにその皮膚炎に小外傷や炎症が悪化し、静脈うっ滞性皮膚潰瘍になる。この静脈うっ滞性皮膚潰瘍が悪化するにしたがい、患部の静脈が破裂し、大きな傷口になったり、絶えず出血等が起こるようになる。

原因

 静脈性潰瘍は、静脈にある逆流防止弁が機能しなくなることで静脈うっ滞をおこす。慢性的に静脈うっ滞は、真皮上層に存在する毛細血管係(けい)蹄(てい)から出血をきたす。これにより組織にヘモジデリンが沈着、皮膚は黒褐色調となる。さらに血液還流不全により角化細胞が障害され表皮の萎縮や落屑が起こり、潰瘍など生じやすくなる。また、皮膚バリア機構が崩壊し、外来刺激に対する反応性が高まることにより湿疹病変を形成しやすくなり、潰瘍が形成しやすくなる。特に、足首付近には支持組織が少ないため他の部位に比べこの症状ができやすい。静脈うっ滞の原因としてほとんどが一次性下肢静脈瘤のことが多い。二次性下肢静脈瘤でも起こることがある。

(1) 一次性下肢静脈瘤
 下肢表在静脈が拡張・蛇行する疾患のうち、拡張・蛇行している静脈そのものに原因のある場合を呼ぶ。多くの下肢静脈瘤は一次性静脈瘤である。

(2) 二次性下肢静脈瘤
 拡張・蛇行している下肢表在静脈そのものに原因のない、二次性(続発性)に病変が存在する場合を呼ぶ。深部静脈血栓症(DVT)や血栓後遺症に伴うもの(DVT 後静脈瘤)の他に妊娠、骨盤内腫瘍、動静脈瘻、血管性腫瘍などがある。

(3) リンパ浮腫
 リンパ管は、全身の末梢組織に網の目状に広がる毛細リンパ管に始まり、小リンパ管、集合リンパ管、リンパ節を経て静脈へ戻る。子宮癌や乳癌の手術では、リンパ節を切除したり、放射線治療によりリンパ節を損傷するため、手や脚のリンパ液はリンパ節以外の細いリンパ管を通って静脈に向かうことになるが、この流れが滞って起こるのがリンパ浮腫である。リンパ管に閉塞があると、リンパ管に入れないかった蛋白は血管外の組織間隙にとどまり組織間隙の蛋白濃度が高まる。膠質浸透圧により組織間隙中の水が増え浮腫となる。

症状

(1) 足首、下肢の皮膚の色が薄くなる
(2) 皮膚のかゆみや痛みがある
(3) 潰瘍ができる
(4) 皮膚が薄くなる
(5) 下肢の皮膚がひりひりする
(6) 皮膚に斑ができる
(7) 下肢、足首などが腫れる
(8) 下肢、足首の皮膚が厚くなる

 静脈うっ滞性の皮膚炎・足潰瘍は、下肢の浮腫、皮膚の変色、肥厚、潰瘍形成と症状が悪化してくる。一側の下腿に疼痛があり下腿腓腹部をつまむと疼痛があるなどの症状があると要注意状態である。長時間の立ち仕事を職業とする人に多く認められ、女性では妊娠などを契機に生じた下肢静脈瘤に合併することがある。下肢の下1/3、とくに内外踝上方に浮腫性紅斑が生じ、次第に暗紅褐色の落屑性湿疹局面や色素沈着をきたす。慢性化すると白色調の萎縮性局面や皮膚硬化(硬化性脂肪織炎)を呈する。軽微な外傷で容易に潰瘍を形成する。 創部に悪臭や排膿がある場合は感染の可能性があるため外科的デブリードマンが必要となることがある。うっ滞の原因が静脈瘤の場合、静脈瘤の状態によっては静脈瘤手術が必要となる。また、創部(潰瘍)の治癒が遅延し感染を起こす危険性がある。

診断

(1) 問診・理学所見
問診
①立ち仕事の経歴、②出産歴、③下肢が重い、だるいなどの自覚症状、④誘因となる外傷の有無、⑤外用薬や消毒薬の使用歴

理学的所見
 動脈の触知、皮膚温触知(暖・冷・左右差)、疼痛の有無(間欠性跛行、 圧痛、挙上時痛、下垂時痛)、浮腫の有無、皮膚の色(色素沈着、発赤、リンパ管炎)、皮膚の乾燥などを観察する。

(2) 立位での静脈瘤の視認、伏在静脈の触知
 超音波検査(下肢静脈エコー検査)による静脈内腔検査による静脈血栓の有無や静脈内腔の左右差を確認する。

(3) 表在静脈ドプラ聴診検査
 下肢静脈の検査では立位で行い、深部静脈の血流や表在静脈の逆流の有無を確認する。静脈性潰瘍が一次性あるいは二次性静脈瘤によるものか判別する。

治療

静脈性足潰瘍の原因である静脈うっ滞(静脈高血圧状態)に対する治療が大切である。
(1) 保存的治療
 ① 創部処置(潰瘍部の処置)
  創傷被覆材:創部洗浄後、創傷治癒に必要な湿潤環境を維持するためのドレッシング剤(ハイドロコロイドドレッシング材)が第1選択で、貼付した上から下腿全てを少なくとも膝上まで弾性包帯で均一に圧迫固定する。

 ② 圧迫療法:静脈性下腿潰瘍に対して圧迫療法を行うことにより、圧迫包帯をすることで、弁の壊れた皮静脈に血液がうっ滞して浮腫がおこることを予防する。
  弾力包帯や弾性ストッキング、医療用ストッキングによる圧迫

(2) 外科的治療
① 外科的創部デブリードマン:壊死物質や過剰な細菌を除去し治癒に不利な状態を取り除く。
② 下肢静脈瘤手術:下肢静脈瘤が原因の場合、静脈瘤の状態により静脈抜去術、高位結紮術、硬化療法、血管内レーザー治療を行う。

予防

(1) 立ち仕事や長時間同じ姿勢の仕事を避ける
 脚を動かすことが少なくなくなる。立ちっぱなしの場合は、こまめにふくらはぎを動かしたり、ストレッチをしたり、以下で述べる弾性ストッキングを履くことなどが重要。
(2) 横になり、下肢(もしくはむくみのある箇所)を心臓より高い位置に上げる。
 これは単純に、重力によって静脈の血液を心臓のほうに戻して上げるため。
(3) 運動する。適度な運動は水分を静脈やリンパ管に戻し、むくみがひく役目をする。
(4) 医師に処方された弾性包帯や弾性ストッキングまたは医療用ストッキングの着用。
 これは、ふくらはぎの筋肉によるポンプの変わりになる。ふくらはぎを締め付けることで、脚を動かさなくても常に脚の静脈が圧力を受け血液を心臓のほうへ戻す力となる。
(5) 食事の塩分を減らすと、水分貯留が減り、むくみが改善する。
(6) むくみ治療に処方されたくすりは指示通りに服用しましょう。

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