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診療内容

白癬(水虫)

 足白癬は白癬菌が足の皮膚の角質層に侵入して生じる感染症である。白癬菌感染症の中では圧倒的に多く、約7割を占めるとも言われている。治療を行わないことが多く、すでに日本人の約2割が発症しているというデータもある。白癬菌(カビ)は気温や湿気が高いと活発に増殖していくので、夏になると症状が悪化するケースが多い。

原因

(1) 白癬菌
 白癬菌は、人間のあらゆる皮膚に常在する真菌(カビ)の一種で、全身のほとんどの場所に生息している。人間の角質層はアカとなってはがれ落ちていくが、白癬菌もそれにくっついて共にはがれ落ちる。白癬菌が感染するのはその落ちた角質層が原因と考えられている。ただし、白癬菌は乾燥した皮膚に付着しても、洗浄されれば感染することはない。自然に落ちていく場合もある。人間の角質層にはケラチンという物質があり、白癬菌はこのケラチンを好むため、角質層に寄生すると簡単には死滅しない。しかし角質層からはがれ落ちれば、数週間ほどで死滅する。
 白癬菌はカビの一種であるため、高温多湿な場所を非常に好む。特に温度15℃以上、湿度70%以上になると増殖力が活発になる。特に靴の中は湿度が95%にも及ぶため、足に繁殖しやすいと言われている。

(2) 感染の仕組み
 足白癬は多くの場合、ヒトからヒトへ感染する。足白癬を発症した人の皮膚からはがれ落ちる角質の中に白癬菌が生息しているため、それを素足で踏んだり触れたりすると白癬菌が付着し感染する。菌が付着した足を洗わずに放置すると、傷ついた角質から菌が侵入し感染に至る。白癬菌が皮膚内に侵入し、感染が成立するまで最低24時間かかるとが、足の皮膚に傷口などがある場合は、12時間で感染するというデータもある。このことから、白癬菌から皮膚表面に付着して24時間以内に足を洗うことが重要である。白癬が感染しやすい時期は春から夏であり、冬には減少する傾向にある。

(3) 易感染状態
 以下に見られるように白癬菌に接触する可能性が高く、手や足が長時間にわたって高温多湿の状態に置かれている人は、注意が必要である。
① 家族に水虫患者がいる人
② ストッキングをはいている女性
③ 通気性の悪い靴を、長い時間はいている人
④ 足の指の隙間がなく、くっついている人
⑤ 汗をかきやすい人
また、糖尿病、免疫力が低下していたり、抹消血管障害があると白癬菌に感染しやすくなる。

症状

 水虫(足白癬)には主に、指の間に生じる「趾間(しかん)型」、水ぶくれができる「小水疱(しょうすいほう)型」、足の皮膚が分厚く硬くなる「角質増殖(かくしつぞうしょく)型」の3種類に分類される。

(1) 趾間型(しかんがた)
 趾間型は水虫(足白癬)の中で最も多い症状である。足の趾の間の皮膚剥離や、発赤、腫脹を認める。強いかゆみを伴うのが特徴である。皮がむけてジメジメし赤くただれることが多くある。稀に皮がむけると縁が硬くなってひび割れることもある。

(2) 小水疱型(しょうすいほうがた)
 多くの場合、足の裏や側面などの毛が生えない皮膚の厚い部分に発症する。水疱周囲が発赤・腫脹することがあり,水疱が集簇すると強い掻痒を認める. さらに二次感染や塗り薬でかぶれを生じることがある。水ぶくれが破れたときに出る汁には白癬菌は生息していないので触れてしまっても感染する恐れはない。

(3) 角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)
 角質増殖型は一見水虫だと判断しにくいタイプである。足の裏全体の角質が厚く硬くなり、ガサガサしてひび割れを起こすこともある。特にかゆみもなく、水疱もないので単なる乾燥だと思い気付かない方が多くいる。しかし皮がむけて床に落ちやすいため、家族に感染する可能性が非常に高いので注意が必要である。爪白癬を合併しやすいのも特徴の1つだと言える。

診断

(1) 直接鏡検
 小水疱が存在する場合、水疱蓋を鋏で切り取り直接鏡検を行えば、ほぼ 100% 菌要素を確認できる。逆に水疱蓋を採取しても皮膚糸状菌が見えない場合は、足白癬を否定してよい。アルコール綿で皮膚表面を拭くと、小水疱の発見が容易となるが、それでも小水疱が発見できない場合は、水疱が破れて辺縁に付着している鱗屑を検査材料とする。しかし皮膚から完全に遊離している鱗屑では菌要素が見つからないことが多いので、皮膚に付着している鱗屑を刃先の鈍なメスでこそぎ取って検査材料とする。
 趾間型足白癬も同様で、浸 軟部には真菌がいないことが多いので、皮膚病変の辺縁の落屑(皮膚から完全に遊離していない鱗屑)を検 査材料とする。2~3 回直接鏡検を行って菌が見つからない場合には他の疾患を考慮する。
 直接鏡検で真菌がみつからない場合は、汗疱、趾間型紅色陰癬、疥癬、掻破または外用薬による皮膚炎などとの鑑別を考慮し、さらに足白癬に皮膚炎や二次感染を合併している状態を念頭におく。たとえ足白癬が(皮膚真菌症診断・治療ガイドライン,p853.)、疑われても安易に外用抗真菌薬を処方すべきではない。「みずむし」を主訴として受診した患者の 13~33% が足白癬患者ではなく、その疾患の 7 割以上が湿疹・皮膚炎患者だったという報告もある。
 従って臨床的に足白癬以外の疾患を想定できないが、直接鏡検で真菌が見つからない場合は、ステロイド軟膏を処方し、1週間から2週間後に再受診させ、もう一度直接鏡検 を行う。湿疹・皮膚炎であれば著明改善または治癒しており、真菌も陰性であるが、足白癬であれば皮膚糸状菌が増えているので、真菌の発見が容易になる。

(2) 真菌培養
 表在性真菌症に おいて、頭部白癬、体部白癬あるいは手白癬では、通常の皮膚糸状菌以外の菌種に起因する例がまれでなく、その際には別途予防や環境の感染源への対策が必要になるため、真菌培養を行う。また深在性皮膚真菌症では、菌種名が病名に直接反映され、正確な診断が 求められるため、真菌培養は重要である。

治療

 足水虫の治療は原則として外用抗真菌薬というカビを殺す塗り薬が第一選択となる。 爪水虫については飲み薬が第一選択となる。軟膏薬では爪の中まで有効成分が届かないこと、内服薬では、有効成分が効果的に爪に届く。そのため軟膏薬と比べ治療期間がかなり短くなる。
 軟膏使用でも、再発を予防するために症状がよくなった後も3ケ月~6ケ月位は塗布する必要がある。塗り薬には軟膏、クリーム、液というように、色々な剤形があり、それぞれに特徴がある。軟膏は低刺激なため、ほとんどの病変に使用することができ、びらんや湿潤した状態にも使える。しかし、軟膏は、べたつきがあるため使用感はあまりよくない。
 クリームは刺激があり、びらんには使えないため乾燥病変に使われる。軟膏と比べ、べたつきが少なく、使用感はよいので、特に夏場は好んで使われる。液剤も使用感はよいが、刺激が強いため、おもに乾燥病変に使われる。また、飲み薬での治療ができない患者にも有効である。

(1) 経過
 白癬菌(はくせんきん)がついてから長い期間を過ぎると症状がだんだんと進行し、「気がついたらこうなっていた」という頃にやっと自覚症状が出てくる。それは、かゆみから始まる。そして何もしないで放っておくと、水ぶくれや皮むけなどの症状が出てくる。

(2) 鑑別疾患
 足白癬の診断はその、臨床症状からある程度可能であるが、湿疹・皮膚炎群、掌蹠膿疱症、紅色陰癬、疥癬などとの鑑別を要する。臨床的には鑑別困難な場合も多いため、病変部に皮膚糸状菌の確認が必要である。

予防

(1) スリッパやマットは個人で分ける
 部屋の床中をこまめに掃除し、なるべくマイスリッパやマイバスマットなど個人で分けられるものは専用にして使用する。

(2) 足は丁寧に洗う
 指の間1本ずつ、丁寧にソフトに洗っていく。外出などで時間や場所が限られる場合は、アルコールの入った除菌シートを使用する。

(3) 5本指のくつ下が有効
 指が太く、指の間がくっついている方や汗をかきやすい方には、指が独立した5本指のくつ下で綿や麻、シルクの素材が菌の繁殖を抑える。

(4) ペットは定期的に洗う
 ペットも洗浄する。シャンプーは、抗菌作用のある薬用タイプがよい。ペットに感染症状があれば、動物病院へ連れて行く。

(5) 伝染を防ぐには早めの治療が肝心
 水虫になった場合は早めの治療をし、他に感染させないようにする。くつ下やスリッパは自分専用のものを使い、素足で歩かないようにする。

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