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診療内容

アキレス腱付着部炎


アキレス腱とは、腱は筋肉を骨に繋ぐ結合組織で、下肢の後側を走っていて腓腹筋と踵骨を繋いでいる。アキレス腱炎はアキレス腱が炎症を起こすことであるが炎症は短期間である。
時間が経過しても改善しない場合は、腱が変質し、その構造を失いアキレス腱断裂につながることがある。

原因

健常なアキレス腱では約1トンにおよぶ張力負荷に耐えることができるとされているが、骨との付着部は繊維軟骨組織を介する構造となっているため血行に乏しく、いったん微小損傷が起きるとその修復は期待されない。過度の牽引ストレスによる損傷とその修復不良が本態と考えられる。

症状

比較的若年層にみられ、両側性のものが多い。歩行時、運動時のアキレス腱付着部周囲の疼痛を訴えるが、次のように症状に若干の違いがある。
(1)アキレス腱皮下滑液包炎では同部のやや外側にpump bumpとよばれる母趾頭大の発赤した腫瘤を認める。急性期には周囲の腫脹を伴い圧痛が著明であるが、慢性化すると圧痛は軽減し腫瘤は硬結となる。
(2)アキレス腱付着炎
前述の滑液包に比べると圧痛はやや遠位内側に認められる。後方から観察するとアキレス腱付着部全体広くなっていることが多い。アキレス腱の拘縮による背屈制限や背屈時痛、運動後の踵部全体の疼痛を訴えることもある。

診断

以下の症状が認められた場合、アキレス腱付着部症と診断される。
(1)アキレス腱付着部またはアキレス腱の周囲にある滑液包に、圧痛または把持痛が認められる。
(2)階段の昇り降り、歩行、走行などで、アキレス腱付着部に痛みが出る。
(3)踵の骨の骨折やアキレス腱断裂とは異なる。

アキレス腱付着部症では単純X線側面像にて腱実質内に突出する骨棘がみられることがある。

治療

(1)保存的治療
局所の安静、消炎鎮痛薬の投与、靴の修正などに加えアキレス腱付着部症ではストレッチングや足底挿板によるheel-upが有効である。従来行われていたステロイドの滑液包内注入は、腱の脆弱性をきたすため現在ではあまり用いられない。欧米では体外衝撃波による治療も試みられているが、現時点で安定した成績とはいえない。
(2)外科的治療
少なくとも6か月以上の保存療法に抵抗する症例には手術療法が適応となる。Haglund deformityに起因するアキレス腱滑液包炎では、踵骨後上隆起および滑液包切除術で比較的速やかに症状の軽快が得られる。しかし、アキレス腱実質の変性が強い症例では成績は劣り、改善には長期間を要する。手術はアキレス腱外側に沿った縦切開による従来法が一般的であるが、術後の総瘢痕やアキレス腱の癒着などの合併症が多く報告されており、最近では侵襲の小さい内視鏡下手術が推奨されている。
内視鏡下の場合、術後はギプス固定を行わず圧迫包帯固定の状態で、術直後より疼痛を訴えない範囲での自動運動と部分荷重を許可する。スポーツ活動は術後約3か月より開始する。アキレス腱付着部症に対してはパラテノン切除術、癒着剥離術、腱内変性部切除術などが有効とされているが、いずれも対症的な治療法に過ぎずスポーツ活動の再開とともに再発する症例も少なくない。

予防と注意点

(1)痛みを感じたら、靴の後縁をやわらかくしてもらうか、靴を替える。
(2)かかと部を高くするなか敷きを靴に入れる。
(3)昼の空き時間や寝る前にアキレス腱のストレッチを行う。

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