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診療内容

外反母趾

外反母趾とは、母趾が第2趾側に「く」の字状に曲がった状態をさす。足部疾患のなかで最も多い疾患の一つである。原因は種々いわれているが、病態としては第1中足骨が骨格構造(アライメント)の異常により内側に偏位する。筋腱の引く方向が変化したり、靴による圧迫がMTP関節より遠位を外側に移動させる。筋腱の不均衡が顕在化すると、種子骨も外側に偏位する。第1中足骨遠位の内側面は靴に圧迫され、疼痛を伴う炎症が出現する。これをBunion(腱膜瘤)という。母趾は第2趾を圧迫していくが、症状が増悪すると、第2趾の足底側に潜り込む。第2趾は押し上げられ、靴との間に挟まれると第2趾足背側の関節面に疼痛が出現する。

原因

 外反母趾の原因には、遺伝、女性、ハイヒールが挙げられているが、男性にも発症しており、一概には言えない。むしろ、大半の症例が生まれつき足のアライメント(軸)に異常があり外反母趾になりやすい。足の変形と共に、強い痛みを主訴に来院することも多い。

(1)過度の回内

(2)第一列の過度の柔軟による背屈(標準は背屈5mm、底屈5mm) 

(3)拇趾の機能制限(FHL、 Functional Hallux Limitus)

立位時に中足骨が基節骨よりも上に上がるため、MP関節(MPJ)が一瞬ロックする。第一MPJがロックし、踵が早く上がり過回内を起こす。

(4)フットウェア 

A.機能的ではない靴.曲がるべきところが曲がらず,曲がらなくてもよいところが曲がる靴(MP関節等)ゆえに,足をサポートできなくMPJに負担をかける。
B.靴のサイズ(幅と長さ)が合っていない.足の最も幅が広い部分が靴の幅の広い部位に合わせる.長さも,指の先が靴の中で当たらないような靴を選択する。

症状

外反母趾の症状としては以下の4点が挙げられる。

(1)母趾の内側の皮膚が赤く硬くなる。
(2)骨っぽい出っ張りがでる。
(3)関節に痛みがあり、靴の圧迫で痛みが増す。
(4)親指が隣の指方向に曲がる。

診断

 通常は見ただけで外反母趾と診断することができる。足のレントゲン写真で、母趾と足部の角度が異常で関節炎を起こしている場合もある。外反母趾は荷重位の正面像で計測する。第一中足骨と母趾基節骨の長軸が成す角度が外反母趾角(HV角)といい、第1足骨と第2中足骨の長軸が成す角度は中足骨間角(IM角)またはM1M2角とされる。

 外反母趾の最初のケアとして、つま先の幅が広く、指の先が靴の中であたらない正しいサイズの靴に変えるように指導を行う。履く靴を変えることで更なる追加治療が避けられることが多い。外反母趾を保護するために、フェルトやフォームのパッドを足に貼る、夜間にはスペーサー(親指と隣の指を広げる器具)を装着することもある。また、履き古した靴に穴をあけて履くことなどの方法もある。
 外反母趾が悪化して変形が酷い場合、疼痛が増大した場合には外科手術により指の並びを修正し、突出した骨の部分を削るなどの方法がある。

治療

(1) 処置・保存的治療

①靴の指導

  • 拇指MTP関節内側部のパニオンを圧迫しない。
  • 先が広く足趾の運動を妨げない。
  • ヒールは低くめとする
  • 柔らかい素材を選択する
②処方される薬剤等
炎症や痛みが強い場合は抗炎症剤、鎮痛剤を使用する。

③装具
外反母趾の装具は、痛みに対するパッチ、足底版と矯正用装具に大別される。

④痛みに対するパッチ
パッドは、フェルトやゲル状のプラスティックで作られた圧を弱めるための柔らかいパッドと、支えたり圧迫したりするためにある程度の硬さを持ったパッドの2種類がある。緩衝材としてのパッドは、患部を覆うように貼り、靴や床からの圧迫を分散し弱める。周辺部で荷重を支え、患部への圧迫を逃すパッドは、患部に当たる部分をリング状や「U」字状に切り抜いたり薄くしたりして、患部に当たらないように貼る。

⑤足底板
外反母趾では縦と横のアーチが低下するので、縦アーチに対して横サポート、横アーチに対しては中足骨パットで対応する。オーダーメイドのインソールは、痛みの軽減に役立ち、外反母趾の悪化を防ぐことができる。インソールは、足趾が内側に倒れるのを補正し、回内による内向きの圧が発生するのを防ぐ。

【カスタムインソール】
ひとりひとりに合わせて作成する装具で、ある程度の硬さが必要となる。市販品では、足の構造を理想的な位置で保持することが難しい。

⑥矯正用装具
硬性弾性装具、軟性弾性装具、スプレッダー型装具(セパレーター)、サポーターがある。

⑦ストレッチとエクササイズ

a.アキレス腱のストレッチ
  • 伸ばしたい方の足を一歩後ろに下げ膝を伸ばす
  • 前後の脚をゆっくり曲げ、反動をつけずに後ろのふくらはぎを伸ばす
  • *立って行うことが困難な場合は、長坐位のまま足にタオルをかけ、手前に引くようにストレッチする
b.足趾のストレッチ
  • 親指と人差し指の付け根を掴む
  • 指の間を広げるようにゆっくり動かす
c.足趾のグーパー
  • 足の指をグーパーするように動かす。特にパーを中心に行う
  • 出来るだけ足趾を大きく動くように繰り返し行う。動きにくい場合は手を使い、動きを補助する。
(2)外科的治療
変形がひどく靴が履けないなどの状態にある場合、保存的療法を行っても症状の改善がみられない場合は、外科的治療を検討する。



(3)外反母趾の経過
 症状の経過は年齢や運動量、外反母趾の重症度によって違いがある。骨端線が閉鎖していない10代など若年層は成人よりも治療が困難である。これは成長と共に変化する骨格構造とそれをコントロールするための装具が成長に合わせて適切に使用できないことにある。治療の基本は、疼痛の除去とコスメティックな改善になる。外科手術による治療は、痛みと変形の改善に有意である。

(4)合併症
 外反母趾の合併症としては、慢性疼痛、足の変形、足が硬くなる、内反母趾(手術による矯正によって、親指が隣の指の反対方向に反る)などがあげられる。

予防

 外反母趾に限らず、足の疾患では、靴の選択が重要となる。外反母趾になりにくい靴と、外反母趾になっても痛みの少ない靴とは、別に考えなければならない。外反母趾予防のためには、ヒールは3㎝までで、先端が内側に寄って(内振れ)いて、先が三角形ではなく四角形(スクエア)で、靴の中で趾を動かせる靴を選択するように指導を行う。

(1)自宅での注意点
①外反母趾の部分があたらない幅広の靴を履く
②市販のインソールを試してみる、症状が強い場合はオーダーメイドのインソールを作成し、可能な限り室内でも使用する。
③主に歩行をする際の靴はスニーカーを使用するなど、足への負担を軽減することが望ましい。
④適切なストレッチやエクササイズ。

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