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診療内容

爪白癬(爪水虫)


爪白癬は以下の5つに分類される

(1)遠位側縁爪甲下爪真菌症 ( Distal and lateral subungual onychomycosis : DLSO)
(2)表在性白色爪真菌症(Superficial white onychomycosis:SWO)
(3)近位爪甲下爪真菌症(Proximal subungual onychomycosis:PSO)
(4)カンジダ性爪真菌症(Conidial onychomycosis)
(5)全異栄養性爪真菌症 (Total dystrophic onychomycosis:TDO)

全異栄養性爪真菌症(以後、TDO)は爪真菌症が進行し、爪甲全体に病変が及んだものである。爪白癬は進行すれば、TDO になるが、爪白癬の病型の大部分は、遠位側縁爪甲下爪真菌症 (以後、DLSO) であり、次いで表在性白色爪真菌症(以後、SWO)、近位爪甲下爪真菌症(以後、PSO)の順である。しかし老人ホームなどの施設では、SWOが数多くみられることがある。SWOは爪表面の傷口から皮膚糸状菌が侵入して生じたものと考えられ、爪甲下角質増殖は目立たず、爪甲の点状ないし斑状の白濁がみられる。しかし DLSOの大部分は、足白癬病巣の皮膚糸状菌が爪床の上を伝わって、爪の基部に向かって増殖したものである。初 期のころは爪甲表面の光沢は保たれるが、爪に寄生した皮膚糸状菌は、爪の伸長とともに爪甲の下層から上層あるいは爪の先端部に押し上げられるように移動するため、進行すれば爪の光沢は失われる。また DLSOや PSOに SWOが合併することもある。
爪白癬 DLSOでは皮膚糸状菌は足白癬病巣の角層から爪床の上を伝わって侵入して、爪の基部に向かって増殖する。その結果、爪甲は混濁・肥厚し、爪甲下は脆くなり、爪甲下角質増殖部が崩壊すると爪甲剝離の状態となる。爪に寄生した皮膚糸状菌は、爪の伸長とともに 爪甲の下層から上層あるいは爪の先端部に押し上げられるように移動するが、それらの真菌は栄養状態が悪いため、変性していることが多く、培養しても陰性のことが多い。また、爪の先端部や爪の表面には真菌は 時間が経たないと出現しないことが多いので、爪切りで爪甲剝離部位や爪の先端部を除去し、できるだけ爪の基部に近いところで、深部(爪床に近い部位)を検査材料とする。爪の奥深くを採取できない場合は、爪甲剝離の下に存在する皮膚の表面(実際は爪床)を採取した方が真菌の検出率は高く、また培養も成功することが多い。
また爪白癬が進行し、爪の表面が粗 造となった場合は、爪の表面にも真菌の存在を確認で きる。一方 SWO の場合は、白濁した爪の表面をメスで 削り取って、それを検査材料とすればよい。この場合、直接鏡検で大型の胞子が多数認められることがある。

原因

ほとんどの場合は水虫(足白癬)を長期間放置することで皮膚から爪の中へと白癬菌が侵入し、爪水虫(爪白癬)を発症する。なお爪水虫は足だけでなく、手に発症する場合もある。

症状

爪甲の混濁肥厚、要するに爪が厚くなり、白色や黄色などに濁ってくる。爪には神経がないため掻痒感や疼痛といった自覚症状はないが、分厚くなり過ぎると靴を履くときに圧迫され、痛みを感じる場合がある。
症状だけで診断せず必ず爪を切って、検査材料を採取し、真菌の存在を確認しなければ、正しい診断は下せない。ただし、その採取も適切に行わなければ、培養しても陽性にならない。特に症例数が多い遠位側縁爪甲下爪真菌症(DLSO)の場合、爪甲の剥離部位や爪の先端部を除去して、できるだけ爪の基部に近い皮膚側の奥深いところ(爪床)を採取して検査材料としなければ真菌検出率はきわめて低くなる。
 一方、爪の表面に感染する表在性白色爪真菌症(SWO)の場合なら、白濁した爪の表面を採取すれば検出は可能。エフィナコナゾールの添付文書の「効能・効果」の中では、「直接鏡検又は培養等に基づき爪白癬であると確定診断された患者に使用すること。」と明記されている。この記載は非常に重要なことで、臨床症状だけで爪白癬治療薬を処方してはいけないことを示しているのである。エフィナコナゾールに限らず、内服薬を処方する際も同じである。さらに言えば、足白癬の治療においてもやはり直接鏡検によって確定診断をした後に処方すべきである。
したがって、診断のポイントは検査材料をサンプリングする部位である。爪白癬が疑われた場合には、「皮膚真菌症診断・治療ガイドライン」1)に則って、適切な検査材料を採取して直接鏡検を必ず行う。そして、真菌のいないような部位から採取しても培養陽性は得られないこと。さらに培養の場合、汚染などにより原因真菌でないものが培養されることもあることを念頭におかなければならない。

診断

(1)細菌検査:白癬菌検出

(2)鑑別診断

爪白癬では、爪に白色や黄色の混濁、肥厚、変形などの症状が現れますが、爪白癬と肉眼所見が酷似した鑑別疾患が多く存在する。「見た目」では判断せずに、確定診断することが重要である。鑑別疾患としては、

①爪真菌症(カンジタ性爪真菌症)
②爪真菌症以外の爪病変(爪鉤彎症、爪栄養症、爪扁平苔癬、爪乾癬)

がある。

治療

SWO は白斑部を削り取り、外用抗真菌薬を使用するだけで治癒することが多く、経口抗真菌薬は無効か、 治療に時間がかかるかもしれない。DLSO のごく初期であれば、病変部を爪切りなどで除去後、外用抗真菌薬を使用すれば、治癒することがある。しかしその他の爪白癬に対しては、治療の原則は経口抗真菌薬の内服である。
英国の爪真菌症治療のガイドラインでは、爪真菌症に対してはテルビナフィンが第一選択薬で、イトラコナゾールは代替治療薬とされている。ただし、爪カンジダ症に対してはイトラコナゾールが第一選択薬となっている。 抗菌薬では薬物動態と抗菌活性から、抗菌薬の治療効果を推定できるため爪白癬においても同様で、抗菌薬の MIC、 もしくは MFC(最小殺真菌濃度)と AUC などの爪中の薬物動態を見れば、その薬剤の有効性をある程度予測しながら治療していく。短期間で治療を完了したい場合はイトラコナゾールのパルス療法を、時間がかかっても高い治癒率を期待する場合はテルビナフィンの連続投与を選択する。しかし、経口抗真菌薬によって、爪甲基部から健常な爪が伸びてくるが、中には混濁した病爪が縦 に線状に残存することがある。このような場合は、楔状あるいは線状の混濁部を機械的に除去しない限り治癒することはない。
爪甲剝離がある場合は、爪甲剝離部位をできるだけ爪切りで除去した方が、治癒率が上 がり、厚硬爪甲のように爪が大きく厚くなったものでも、爪切りなどで病変部の爪をできるだけ除去すれば、 治療期間を短縮し、また治癒率を上げることが可能。

予防

 白癬に準ずる。足趾の爪の生えるスピードは大体1ヶ月に1mm程度と言われており、外用薬で治療したとしても1年くらいは根気良く治療する必要があること。最近では、家人に白癬菌感染がいるとピンポン感染し続けることもわかってきており、問診で、家人に白癬菌感染がいないことも重要である。 

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